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「月100時間持ち帰り残業」で労災認定 長時間労働の企業へのダメージ!

2011年、20代の英会話学校講師の女性が自殺したが、その原因は自宅で長時間労働する「持ち帰り残業」が原因であったとして、労災認定されていたことが判明。

2013年に遺族が労災認定を申請した。

女性は一人暮らしであり、自殺する直前に親族や知人に、上司から「仕事の段取りが悪すぎる」と叱責されていたことや、自宅でレッスン用の教材作成に追われ、短時間しか寝られないつらさをメールや電話で訴えており、遺族からの労災認定の申請後に労基署が「持ち帰り残業時間」を推定した所、月80時間程度は自宅で残業していたと結論づけた。

会社での残業時間も月20時間程度はあったため、「持ち帰り残業」と合わせると、恒常的に月100時間程度の時間外労働があり、さらに上司から怒られる心理的負担も加わり、うつ病を発症していたとして、労災を認定しました。

労基署によると、持ち帰り残業は自宅での作業実態の把握が困難なため、認定されるのは珍しいということです。

皆様こんにちは!助成金特化型の名古屋熱田社会保険労務士事務所です。助成金を貰うためにも愛知・名古屋の中小企業の労務管理は大変重要となります。弊事務所の無料メルマガ等で最新情報を学んでおきましょう!

毎月100時間の時間外労働(残業や早出)は、愛知・名古屋の中小企業ではちょくちょく見られる例ですが、実は企業の潜在的危険性という面から、労務管理の専門家であり助成金特化型である社会保険労務士としては何としても避けて頂きたい事態なのです。

理由は次の四点です。

①残業代は25%増しで払う必要があるため、人件費効率が悪くなる。

②上記の結果、残業代を払う事が人件費の面から厳しくなり、残業代未払いが起こる。未払い残業代は過去2年間に渡って遡って従業員から請求される危険性がある上に、悪質だと裁判で判断されると最大2倍の金額の支払いを命じられるため、会社を潰しかねない状態になる。

③3ヶ月にわたって100時間の時間外労働をさせている従業員が精神疾患(うつ病等)にかかると、労災認定の基準の心理的負荷が「強」になってしまうため、本当は会社の業務に関係ない発症であっても、かなりの確率で労災だとされてしまう。

④上記の労災認定がされると、会社に責任があったという事になり、従業員が損害賠償請求をしてくる事もある。

⑤助成金の対象者には残業代をしっかりと支払っておく必要がある。支払わない場合には助成金を貰う事が出来ない。

如何でしょうか?①は愛知・名古屋の中小企業もお気づきの事かと思いますが②はどうでしょう?過去2年間に遡って2倍の金額を支払わなくてはならなくなる事もあるというのは大変恐ろしいものです。

そして極め付けは③と④です。本当は時間外労働とは関係なく精神疾患(うつ病等)にかかっているのに、毎月100時間の時間外労働のせいで会社が原因だとされてしまい、労災のみならず損害賠償請求の可能性まで出てきてしまうのです。

今回の事件の自殺については、会社でのパワハラ等や時間外労働が本当に原因であるとみれそうですが、もし会社でのパワハラ等が原因でなかったとしても、毎月100時間の時間外労働のせいで会社に労災や損害賠償請求までくる可能性があるのです。

愛知・名古屋の中小企業として時間外労働代をしっかり払う事はお金の面から大変な事ではありますが、企業の潜在的危険性の事を考え、今後は時間外労働代を支払うか支払わないかについてよく考えてみましょう。

また助成金特化型の社会保険労務士として愛知・名古屋の経営者様に一番気にかけて頂きたいのは⑤になります。

残業代のしっかりとした支払いは助成金を貰う上でも必須となりますが、残業代をしっかり支払い助成金を貰う事が出来れば、その受給金額を使い残業代の一部を賄うことが出来ます。

未払残業代による労働問題を予防でき、その上、助成金まで貰う事が出来るのです。

その点も踏まえて、愛知・名古屋の経営者様は残業代について前向きに考えていく必要がありそうです。

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