「名ばかり専務」パワハラ自殺 中小企業のパワハラ対策の必要性
神奈川県の物流業の元専務で、2011年6月に自殺した男性(当時54)の自殺について、労働基準監督署がパワハラや過労によるうつ病が原因として労災認定した。
男性は2009年に専務になりましたが、実際には事務作業を行うなどの「名ばかり専務」状態であった。2011年5月に不正経理問題があり、社長からメールで罵られたほか、同年6月になって自殺を図ったことを社長に伝えた際には、包丁を突きつけられ「死ね」などと言われたそうです。男性はその3日後に自殺しました。
男性の手帳からは、自殺前の6か月間に、月100時間を超える残業が3回あったことが分かっており、会社駐車場の車の中で仮眠を取る状況が月2回ほどある状態であった。
労働基準監督書は、2011年5月下旬にうつ病を発症したと認定しました。専務の肩書があっても、社長の指揮命令で作業する場合は労働者であると認められたことになります。
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さて、今回はパワハラについてです。パワハラとは「会社での立場が強い者がその立場を利用し、他の従業員の人間性を否定するような事を言ったり、やったりする事」と考えて頂ければ宜しいかと思います。
今回の事件でのポイントは、「専務という肩書きのある役員は本来は従業員ではないため、パワハラが原因となる自殺であっても、従業員を対象とした労災には認定されない。しかしながら、名ばかり専務であり実際には従業員であったため、労災として認定された」という点です。
愛知・名古屋の中小企業の経営者様に、労務管理の専門家であり助成金特化型である社会保険労務士から助言させて頂きたい事は、「あなた様の会社の中間管理職や役員の方等は、本当に国から管理職と認められる状態ですか?」という事です。
何を言いたいかと申しますと、愛知・名古屋の中小企業でよく見る状態として、「うちは課長(中間管理職)には残業代を払っていないよ。だって管理職には残業代払わなくていいんでしょ?」という事が多々あるためです。
たしかに、国の規定でも管理監督者(監督若しくは管理の地位にある者)には残業代は払わなくて良いとなっております。
ところがです。国の考えている管理監督者と、愛知・名古屋の中小企業が考えている管理職は全く違うのです。つまりは、ほとんどの中小企業の課長等には残業代を支払う必要があります。ほとんどというよりは下手をしたら全てと言ってもいいぐらいかもしれません。
助成金を貰う上でもしっかりと残業代を支払う必要があります。助成金対象者が、本当は残業代を支払われなくてはならない者であるのにもかかわらず、残業代が支払われていない場合には助成金を貰う事が出来ないのです。
そして、残業代を支払う必要がないと国が考えている、管理監督者とは次の四点全てを満たす者です。
①経営者と一体的な立場にある人で、重要な職務を担っている事。会社の今後の経営方針に口を出すことが出来るような者の事です。そのような者は会社の中でもかなり限られたトップ層のはずです。
②重要な責任と権限が委ねられている事。自らの裁量で行使できる権限が少なかったり、上司に決裁を仰がないといけなかったり、上司の命令を部下に伝達するだけの者は該当しません。
③勤務時間について自分で決めることができる事。つまりはタイムカードで勤務時間を管理され早退や遅刻で減給になったり、決められた時間は出勤しないといけなかったりする者は該当しません。
④給与・賞与・役職手当などの待遇が充分である事。管理職になって給料が減るような者は該当しません。
如何でしょうか?これら全てを満たす愛知・名古屋の課長等など存在するのでしょうか!?本当に一部のトップ層だけが管理監督者に該当し、残業代を支払う必要のない者となるのです。
そして例え専務というような肩書きがある者であっても、上記の四点を満たさず管理監督者に該当しないのであれば、労働者であるという事になり、残業代の対象になるに留まらず、労災の対象者となってしまうのです。